Hideのおすすめ本とエッセイと絵と詩などのブログ

おすすめ本やエッセイ、絵、現代詩などを載せていきたいと思っています。

「私の幸福論」福田恆存 ちくま文庫

福田恆存は現代の作家です。演劇、翻訳、評論など多岐に渡って活躍しました。シェイクスピアの翻訳でもよく知られています。この書はわたしにとっては忘れられない本で、浪人時代の精神的な支柱になったということもあり、このおすすめ本の中に入れました。現実は確かに不平等である。だが、不平等だからと言って不平ばかり言っていても仕方があるまい。与えられた環境をそのまま是とし、そこから歩き出すべきであろうという著者の言は強く心に響きました。読み易い文章で書かれた日本人による幸福論の白眉です。


「犬だって散歩する」丸谷才一 講談社文庫

日本の現代作家丸谷才一の軽快なエッセーです。これはわたしの好みも入りますが、この人の文章は小説よりも、こうしたエッセーのように軽妙なものの方が、生き生きとした精彩が感じられるように思えてなりません。たいへん博学な人で、博識を元にした知的遊戯の達人と言っていいかもしれません。それでいて、ペダンチックな臭みは少しも感じさせない人で、知識がこの人の中で充分に熟れているからでしょう。この書は、その丸谷才一の学識と知的快楽に溢れた楽しい本です。他に「猫だって夢をみる」もお薦めです。


「代表的日本人」内村鑑三 岩波文庫

※西日本豪雨で、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
 また、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。


原文はとても立派な英文で書かれているそうです。本書は、岩波文庫の新訳ではなく鈴木俊郎の旧訳の方を選びます。旧訳の方が、内村の意図するところをよく伝えていると思えたからです。西郷隆盛をはじめとして中江藤樹、二宮尊徳、上杉鷹山、日蓮上人らの短いけれど、じつに精彩に富んだ評伝集です。誰も内村が書いたように、これらの日本の傑物たちを書けた人はいませんでした。これは内村鑑三自身が代表的日本人だったからに他ならないという理由によるようです。日蓮上人の章がもっとも長く、またもっとも充実していますが、政治的及び宗教的な迫害ということと際立って思想的な人物だったというところで、相通ずる心情を感じていたからでしょう。内村だから書けた、日本人評伝の名篇です。


エッセイ きれぎれ草 3

歎異抄
たましいの奥底に墨で大書されたような文言。
これはどんな人間のたましいにも応ずる。
善人だろうが悪人だろうが。
「たとへ、法然上人にすかされまいらせて、念仏して地獄に堕ちたりとも」
「すかされ」という俗語が、肉体的に痛切と言っていいくらいの血の匂いがする。
なんという奥深さだろうか。
親鸞の手振りや口調まで伝わってくるようだ。
親鸞にはもう一つ美しい言葉がある。
「弥陀の本願はひとへに親鸞一人がためなり」


    〇


ショーペンハウアー
ただ一つのことが、生涯の最大の関心事であった賢者。
道徳的な人生しか認めない、意味に対する強力な腐食剤。
模倣者には、けれども毒素のように作用するが。


    〇


ミレー
驚くほど堅牢なペシミズム
人間には大地という足場しかない。


          〇


バッハ「音楽の捧げもの」
峻厳で気難しい老人の横顔
けれども、まなざしは上方を向けている


     〇


バッハ「カンタータ140番」
幸福の予感への間断のない傾斜


     〇


ガンジーの目
底深い淵から繊細な光がさしているようだ
     〇


ベルクソン「時間と自由」
肉体の精妙な動きに則って抽象語を操る理の達人。時には抽象語さえ美しく肉化し、詩となる。


     〇


ランボー
 「彼の目は私(ドラエー)がこれまでに出会った人の中で最も美しい目をしていた」
その頃の彼の写真を見ると不思議な思いに駆られる。一見、夢遊病者の眼のようでありながら、実在は確実にあますことなく捉えている。いや、捉えられ過ぎている。そうして、嫌悪するようにその対象から顔をやや背け、いわば、実在と絶妙な距離をたもっている。ざんばら髪と堅牢なあごは、正しく詩人というより行動家のそれだ。
文学とは白日の元に晒された夢の中で美しい愚行を演じることに他ならない。なんと、無邪気極まる男であるか。


水彩画「フクロモモンガ」

知人が飼っていた「フクロモモンガ」を遊び心で描いてみました。
やはり、2015年に描きました。