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「ドン・ジョバンニ 音楽的エロスについて」キルケゴール 白水uブックス

デンマークの哲学者キルケゴールの秀抜なモーツァルト論です。「音楽的エロスについて」という副題がついています。特に「ドン・ジョヴァンニ」を酷愛した筆者が、「石が語り始めようとする前に、私は語り始めなければならい。」と音楽について正確に語ることの不可能と、またその必然性とを表した有名な言葉で、モーツァルトの音楽を語り始めます。「どのような男でも、もし、王者の立ち居振る舞いとどんな女性からも愛されるドン・ジョヴァンニのような生涯を半年でも与えてくれるとしたら、自分の残りの人生と取り替えないような男があろうか。」という言葉には抗し難い説得力があります。モーツァルトの音楽に「官能の無意識」を見、高い精神性と濃厚な官能性とが一体となった著者の論考は、正しく第一級の哲学者のものです。