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おすすめ本の紹介文やエッセイ、絵、人物画、現代詩などを載せていきたいと思っています。

「ウジェニー・グランデ」バルザック 河出書房

ウジェニーの家は葡萄作りで収入を得ていて、非常な金持ちです。これはウジェニーの父が、本物の守銭奴であるためで、父は、家族全員、召使いにも爪に火をともすような暮らしを強制させます。これほど頑丈な守銭奴の性格の持ち主は、どの小説にも見られないと言っていいでしょう。妻がどうなろうと娘のウジェニーがどうなろうと知ったことではありません。実際、心の弱い妻は、夫のあまりにも過酷な性格に圧倒され、病気を得て死んでしまいます。それでも、彼はまったく平気です。彼の心の中で形而上と言えるまでに高められた金のことしか頭にないのです。ウジェニーはある遠縁の青年に可憐な恋をしますが、あえなく恋は破れます。母と父の亡き後の家を継いだウジェニーは、父とは正反対の、宗教的と言いたいような暮らしに入ります。結末は美しい静かな諦念が漂うものです。バルザックの小説の中でもひときわ美しさが際立つ物語です。