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「今年の秋」正宗白鳥 中公文庫

日本近代の自然主義小説家正宗白鳥の最晩年の短篇集です。どの編も枯れ切った、宗教的な雰囲気さえ漂う名篇になっています。白鳥の文章は、味も素っ気もないもので、まるで活字そのものを読んでいるような気にさせられますが、そのために作品の純度は非常な高さに達するものがあります。白鳥は、若い頃キリスト教に入信しましたが、「教えを捨てる者は地獄に落ちる」とその宗教の頑なな性格に反発し、棄教した経歴があります。白鳥はその臨終の最期には、「アーメン」と言って生涯を閉じました。この短篇集の中でも、自分は「南無阿弥陀仏」と言って死ぬか「アーメン」と言って死ぬかと自問自答しています。新約聖書は白鳥の座右の書でした。