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おすすめ本やエッセイ、絵、現代詩などを載せていきたいと思っています。

「世に棲む日々」司馬遼太郎 文春文庫

数多い司馬の歴史小説の中でも、もっとも優れた著作と言っていいでしょう。吉田松陰と高杉晋作の二人の傑物を描きます。司馬は、日本は鎌倉時代になって、始めて日本人の顔が見えるようになると言っていますが、法然と親鸞の師弟の繋がりを先駆とする日本の師弟関係、時代は経て、幕末の動乱期になっても健在なまま保持されたこの強靱な糸を松陰と晋作の師弟間の中にも見ています。欧米列強の外患に対しても強い力を発揮したこの上下を繋ぐたくましいラインは、その後の日本文化にも色濃く受け継がれます。松陰の一見すると愚直とも取れる純粋性、晋作の果断で鋭利な行動力を叙した箇所などは圧巻です。歴史小説の傑作です。