Hideのおすすめ本とエッセイと絵と詩などのブログ

おすすめ本やエッセイ、絵、自作詩などを載せていきたいと思っています。

「空海の風景」司馬遼太郎 中公文庫

司馬には、硬軟入り交じった著作が多いのですが、この本はその司馬の中でも、もっとも硬い方の著作に属するでしょう。剛直な筆致で、平安期の巨人空海を描きますが、著者の筆が思うように伸びず難渋しているのが分かります。筆者は、後記でこの伝説に包まれた巨人弘法大師の衣の翻りでもいいから描いてみたかったと言います。企ては果たして成功しているかどうか。私は際どいものを感じます。やはり、司馬には鎌倉期以降の日本人の顔の方がよく見えているように思えてなりません。ただ最澄と空海との交渉を描いた場面はさすが司馬だと光るものを感じます。