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「三人姉妹」チェーホフ 新潮文庫

チェーホフ晩年の作品です。名篇「桜の園」にも通じる象徴的な筆使いが感じられます。三人姉妹は、悲しい運命と俗悪な日常生活に曝されますが、胸の中に宿る小さな道徳的といってもよい希望の火を決して消しません。劇の最後に、三人姉妹がそれぞれに、心の底から絞り出したような偽りのない心情を歌うように語る場面は、どこからか不思議な光が差し込んでくるような気配さえあります。また、内気な風変わりな少女から俗悪極まりない嫌な女に変貌する脇役のナターシャは、筆者の女性観を如実に表してもいるようです。「桜の園」と並ぶ傑作喜劇です。