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エッセイ ドストエフスキーと動物

「死の家の記録」には、多くのさまざまな動物が登場するが、皆、動物の形をした人間である。「カラマーゾフの兄弟」にもペレスヴォンという忘れがたい犬が登場するが、これも犬の形をした虐待された人間である。


ドストエフスキーの目は、本当に人間というもの見て見抜く目で、よくあれほどまでに強烈な興味を人間というものに抱き続けたものだと感嘆してしまう。罪と罰のマルメラードフというろくでなしの酔漢といい、白痴のレーベジェフという訳の分からない卑劣漢やイヴォルギン将軍という高慢ちきな嘘つきも、本当に興味を持って、じっと人間を見続ける人でなければ書けないものであろう。


そうしたドストエフスキーの描く動物には、どんな動物愛好家にも描けなかったような魅力がある。傷ついた孤高の鷲にも、いじめ抜かれた犬にも、悠々と老いてゆく山羊にも、気の良い馬にも、皆、人間のたましいが分有されていながら、動物としての分を越えていない。


ドストエフスキーの描く動物の視点は、じつに得難いもので、動物についての、多くの知見や愛着を得られるのではないかと、わたしは思っている。