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「ガリア戦記」カエサル 岩波文庫

ガリアは今のフランスです。この書は、カエサルが自分のガリアでの戦歴をローマの元老院に宛てて、非常な速さで書いて報告したものです。翻訳文はかなり読みづらく、また、カエサルの時を置かずに進撃して止まない行軍は、読む者に目まいを起こさせるような果てしない単純さを感じさせるものですが、この行軍の成り行きを見守るより他に、この世にどんな意味のあることがあるとも思えないという強い思いに駆られ、読む者は次々に語られる事実を追うより他なくなります。まるで、岩を砕くように語られるカエサルの事跡には何の余計な装飾も演出もありません。全くの事実そのものの経過を叙した書に過ぎないのに、いや、それだからこそ紛れもない叙事詩の詩魂を我々はそこにまざまざと見るようです。類い稀な読書経験を与えてくれる貴重な書物です。