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エッセイ 戦争と平和<恒久平和という思想>

戦後73年、明後日は終戦の日ということで、テレビや新聞では、戦争の特集をやっている。今のテレビや新聞の報道の仕方を見ていると、「戦争は不条理なもの、平和は条理に適ったもの。」そして「戦争は絶対悪、平和は絶対善。」という公式で括れるようだ。もし、本当にそうであるなら、こんなに結構なことはないほどの有り難い公式ではある。


私事で、恐縮だが、わたしの家の戦後はまだ終わってはいないとわたし自身思っている。財産と言える財産は、まるで残さずに、ある精神財だけを残して、出征兵だった親父は逝ったが、その精神財は、受け継ぐにはちと大き過ぎる課題であったようだ。


些事に渡るので、具体的なことは控えたいが、一つ、自分の親父として誇れるのは、日本のために戦うのは当たり前だと、その後の貧しい生活の中で不服ひとつ言わなかった点であろうか。これは、親父が抱いた宗教的な思想にも寄っていたが、その実践は、少なからぬ影響を家族に与えずには置かなかった。そして、今も、われわれ家族はその影響下にある。


そう、断った上でこう言うのだが、先の公式を幾分皮肉ったのは、そうした親父の影響下で育ったわれわれ家族は、無事な世の中の不条理を知った。戦争は親父を、公平に見て、わたしが出会ったどの善人よりも底抜けの善人にした。


われわれのような家族は、戦後、決して数は少なくはなかったはずである。それら家族は、黙って戦後を処し、騒ぎ立てるようなことはなかったのである。


先の公式は、そうした沈黙に耐え得るほどの言葉とは、とても思えない。平和を希求する言葉は、もっと、沈思黙考された言葉であるはずだ。それは、やかましく平和を喧伝し、戦いを誘発せずには置かない、そうした言葉ではないだろう。


明後日は、終戦記念日である。日本人は、それぞれ、どんな思いで、この日を過ごすのだろうか。


戦争は必然悪であり、また、平和は必然的な善であろう。


「恒久平和」は、カントの痛切な悲願であった。われわれは、その思想の退っ引きならない現実性に、今、直面していることには間違いはなかろう。