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「分析心理学」ユング みすず書房

難解といわれるユングの著作の中でも、ユング心理学の初心者にはもっとも近づきやすい著作です。ユングの学問の骨格がほぼここに出揃っています。一般にフロイトの学問は精神分析学と呼ばれ、ユングのそれは分析心理学と呼ばれます。「一体に、心理療法家は何をしてもいいが、夢を分析することだけはしていけない」というユング自身の言葉と相反するようですが、ユングは自分の学問の根幹が分析心理にあることをじつによく知っていました。本書は、ある学会での質疑応答を筆録したもので、内向性と外向性のタイプから、理性型、感情型、感覚型、直感型と区分けされていき、それらが図式化され、またそれらが相互に補償し合うというユング独自の理論が提出され、初心者が疑問に思うような無意識に関する考えも質疑者によってただされ、ユングはそれらについて明快に応答していきます。「影という無意識とはなんですか」という問いに、ユングは「それは、今、会場におられるみなさんすべてのことです」と答えます。日本人の感覚からすると、禅問答を聞いているような感じを受けますが、西洋的知性の代表であるユングの口から言われると、思わずうなってしまうような説得力があります。ユング心理学の入門書とされている本です。