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「お気に召すまま」シェイクスピア 新潮文庫

シェイクスピアの前期の喜劇です。シェイクスピアと言えば、ハムレットなどの四大悲劇を中心に考えますが、この見方は、実は、ロマン主義文学台頭の時代以降のもので、それ以前の時代のシェイクスピア観では、中期の四大悲劇よりも、前期の喜劇の方が、優れているとされていました。この「お気に召すまま」では、人間は自然とどう向き合うのかがテーマとなっています。主人公の貴族は、自分の棲み家を森の中と定め、配下の家来たちもそこで生活させます。自然と一体化するという大規模な実験なのですが、その試みが成功しそうになる劇の終わりがけに、ある賢い男に、この劇の主題そのものをそのまま引っくり返すような、簡潔で痛烈な皮肉を言わせて、劇を締め括ります。シェイクスピアの、ひいてはヨーロッパ人の自然観が如実にあらわされた傑作喜劇です。